俺と先輩とサボテンと。

「今日の部活はこれまで。解散!」

 休日の部活も朝早いというのに、あっという間に解散になった。
 午後は暇だなぁ、と思いながら、リョーマは着替える。

「あ、越前」
「なんスか?」

 リョーマは自分を呼んだ不二の方を向いた。

「今日、これから暇?」
「暇ッスけど」
「家に来ない?」
「…え?」

 買い物に付き合う程度だと思っていたリョーマは、その言葉を聞いてついそう言ってしまった。
 不二からの誘いは何度かあったが、家に呼ばれるのは初めてで。

「いいんスか?」

 つい、そう返してしまう。

「うん」

 僕が誘ったんだし、と不二は言って、着替えをバッグに入れた。

「姉さんが作ったパイもあるんだけど」

 そう言われると弱い。
 由美子の作るお菓子はいつもおいしくて、リョーマも食べたいと思っていたから。

「――じゃあ、お邪魔します」
「それじゃ、行こうか」

 バッグを持って、二人は外に出た。
 春先なのに、気温はけっこう暖かい。
 会話しながら歩いていると、あっという間に不二の家に着いた。

「どうぞ」
「あ、はい」

 お邪魔します、とリョーマは中に入った。
 荷物置いてこようか、と不二は言って、部屋まで案内する。

「ここが僕の部屋だよ」

 リョーマの部屋とは大違いに、広い。
 部屋自体の広さもあるが特に物を置いてないせいか、余計に広く感じさせる。

「広いッスね」
「そうかな。まぁ、特に置く物もないしね」

 趣味であるとしたら、窓際にあるサボテンくらいだし、と不二は笑った。
 そのときちょうど、玄関が開く音がした。
 誰か帰ってきたのだろうか。

「姉さんかな」

 いつもより早い帰宅時間に、不二は時計を確認する。

「ちょっと見てくるね」

 そう言って、不二は玄関まで下りていった。
 リョーマはその間、クッション片手に部屋を眺める。

「サボテンばっか…」

 窓際にそれとなく置いてあるサボテンを見てみると、大小様々なサボテンが並んでいた。
 近寄ってみると、花を咲かせているのもある。

「――なんか不二先輩って」

 サボテンって感じかも、とリョーマは笑う。
 誰にでも一線引いていて、特に敵には容赦なく。
 でも、仲間にはすごく優しくて。
 あの笑顔の裏には、絶対にサボテンみたいな棘がある。
 なんとなく、リョーマは不二を少しだけわかった気がした。

 類は友を呼ぶ。

 そんな諺が出てきて、けっこうそうかもしれないと思う。

「ごめんね、待たせちゃって」
「――あ、別にいいッスよ」

 パイと紅茶を持って不二が戻ってきて、リョーマは振り返った。

「サボテン、おもしろい?」
「おもしろいッスよ、先輩みたいで」
「僕みたい?そうかなぁ」
「そうッスよ」

 窓際で陽の光を浴びているサボテンを見ながら、リョーマは笑った。
 そして、由美子の作ったパイを食べながらまた不二と話して。

 ――たまにはこんな日も。

E N D


アトガキ。
タイトルが意味わかんなくてごめんなさい(汗
いや、ただこんな感じのタイトルあったなぁって思っただけなんですっ
先輩後輩のほのぼのが書きたくて、こうなりました!
あ、でもそっち系とかじゃないですよ!?(笑)
あくまで日常的な、ですっ
不二ってサボテンに似てるなぁ〜と思ったのは実は私だったり(笑)
せっかくなので、不二家のサボテンさん(笑)を出してみましたっ。
いくつあるかは知りません(笑)