カテイキョウシ。

「何やってるんだ?柊一」

 誠志郎は、さっきから机に向かって唸り続けている柊一を見て、そう言った。

「宿題」

 柊一は誠志郎にそれだけ答えて、またう〜ん、と唸りだす。
 こんなに柊一を悩ませる宿題とは、一体どんなものなのか。
 大抵のものなら、頭のいい柊一なら簡単に答えを出せるはずなのに。
 そう思って、誠志郎は柊一の手元を覗き込んだ。

「――ああ、それか」

 俺もニガテだったなぁ、なんて言いながら柊一の手からシャーペンを奪い、ノートに図形を書き始めた。
 柊一は、そんな誠志郎を不思議そうに見ている。
 しばらくして書き終わり、柊一にそれを見せた。

「こうやって考えるんだよ」

 言いながら、書いた要点を簡単に説明していく。
 柊一は誠志郎の言葉に、ああ、なるほど、と納得して、ノートにすらすらとシャーペンを走らせる。
 こうか?と目線で問いかける柊一を可愛いなぁ、と思いながら、そうだよ、と頷いた。

「――やっと終わった」
「わかれば、けっこう簡単だろ?」

 お疲れ様、と誠志郎は柊一のためにお茶を淹れた。
 柊一はそれを受け取って、一口すする。

「お前、よくあんなの覚えてたな」
「はは、まあね」

 柊一のそんな言葉に、誠志郎は苦笑した。
 まさか、自分でもあんな面倒なものを覚えてるとは思わなかった。
 宿題も終わったし、と勉強道具を片付けて、その間に誠志郎はテレビゲームをつける。

「昨日の続きからだぞ」
「わかってるって」

 変なところで子供だなぁ、と笑いながら、誠志郎はコントローラを握って。
 柊一も隣りに座って、画面を見つめる。

「――ああ、そうだ」
「なんだ?」

 ゲームをプレイしながら、誠志郎は柊一に話しかけた。

「さっきの家庭教師代、もらってない」
「――金取るのかよ」

 ヤミブンのくせに、と相変わらずの口癖を言いながら、柊一はどうすればいいんだ…?と悩んでいて。
 誠志郎はそんな柊一をわかっているのかいないのか、そうだなぁ、と考える仕草をする。

「じゃあ」
「え?」

 驚いた柊一の前には、テレビ画面ではなく誠志郎がいて。
 一瞬だけ――口唇が触れ合った。
 たった一瞬、されど一瞬。
 口唇を離した途端に柊一は真っ赤になり、誠志郎はそんな柊一を見てつい、可愛い、と笑う。
 それが柊一をさらに怒らせて、お前にはもう絶対に頼まないっ!!と言ったとか。


 ――彼の家庭教師代は、可愛い恋人のキスで。

E N D


アトガキ。
元拍手テキストですっ!
なんとなぁく、知り合いのカテキョを見て浮かんだ話。
後で修正とか入れるやも(汗